書 名:死に直面したあなたに 

副書名 :死生学と死生観の確立を願って(中学生も読めるやさしい死の哲学書)

著 者 :内田 誠
発行所 :死生学研究会
印刷所 :大成美術印刷所
サイズ :A5版上製 189p
発行年月:2006(平成18)年121
定 価 :1,760円(税込み)


                         2024年3月16日更新





『死に直面したあなたに』の内容について………           

最近、がん等の病気で多くの方々が死に直面しておられます。日本では、二人に一人が、がんになり、三人に一人(65歳以上では二人に一人)がんで亡くなる、と言われております。
 死に直面した方々が、どうやったら死の不安を少しでも解消できるのか、著者の青年期の体験も踏まえて読み易く、やさしい解説を試みました。死に直面した方々が、死とは何かを知ることによって、多少なりとも死の恐怖が和らげられるでしょう。人は突然の「がん宣告」等でびっくり仰天しますが、その原因の一つには、日本人が死に関する宗教的確信が曖昧(あいまい)で、死生観が確立されていないという点にあるのかも知れません。

 がん等で死に直面した方々は、治療に関する心配とは別に、精神的な不安と恐怖に襲われるでしょう。最近では、「がん=死」というイメージは大分薄らいで来ておりますが、やはり『がんです』とか、余命宣告をされたら、きっと頭の中が真っ白になって何も考えられなくなるでしょう。そして不安や恐怖の日々が始まります。
 死は人生で、最大・最後の難問です。なぜなら、人は必ず死ぬのに、誰一人死者として、死を語れないからです。
人は生まれた以上、その死を自分一人で受け止め、自分一人で死んで行かねばなりません。死に直面した皆さんが、どうやって自分の死を納得し、『よし、これでよし』という心境で死を受け入れることが出来るのか、色々な方面から考察しました。

 本書は『死とは何か』に答える、やさしい死の哲学書です。そして、改めて『死とは何か』をもう一度問い直し、人生をいかに生き、いかに締めくくるかの書とも言えます。ですから、元気でエネルギーがある方々もぜひご覧下さい。

 現在、日本では『いじめ』や『自殺』などの問題解決が急がれておりますが、その原因の一つが、日本人が死を忘れ、死を避けてきた点にあるのではないでしょうか。ですから本書は、そういう日本と日本人に対する警鐘(けいしょう)の書でもあります。

 私達一人一人がもう一度、死の自覚という原点に立ち戻り、客観的な死生観の歴史を学び、死とは何かを考え、偏見のない死生観の確立をする事が大切かと思います。一人一人が自分で納得できる死生観の確立ができれば、死に関係する多くの諸問題の解決の糸口が見つかるかも知れません。

がん等の病気で死に直面しておられる方々、医療関係に従事されておられる医師や看護師等の方々、病人の介護をされておられる一般の方々、教育関係者の方々、『いじめ』や『自殺』等に直面しておられる方々には、ぜひ読んで頂きたいと願っております。

なお本書では、死生観や哲学史上の論点(霊魂の不滅など)を除いて、一般的な霊や死後の問題については、哲学の範囲を逸脱(いつだつ)しますので論じておりません。
 


                 

 『死に直面したあなたに』………… 目  次

  はじめに……………… 4

    目  次……………… 6

第一章 少年五郎の心の軌跡……死の恐怖からの脱出  

  1 それは夏休みを目前にした ……………… 12  

  2 五郎は、東京郊外の農家の ……………… 14  

  3 焼け野原になり焦土と ……………… 15  

  4 八歳の五郎は、七月に ……………… 17  

  5 十八歳を目前にした初冬の ……………… 19  

  6 小雨がしとしとと降る、肌寒い十九歳の三月の夕方 ……………… 20  

  7 確か、二十歳の九月の観測所出張のときでした。ある日の夕方 ……………… 24  

  8 二十一歳の秋頃、なにげなしに見ていたテレビドラマ ……………… 28  

  9 自己否定の別離から四年半、『瞬生五十年』による死の恐怖 ……………… 30 

  10 時の流れがあまりにも早く過ぎ去り ……………… 33    

第二章 死の不安とその解消  

  1 がんを告知された瞬間 ……………… 36 

  2 死とは何か……死生観の変遷(移り変わり) ……………… 38 

    @エジプト時代 Aギリシャ時代・ソクラテス・プラトン・アリストテレス B釈迦 C孔子 Dキリスト Eマホメット(ムハンマド) Fデカルト Gパスカル Hカントとゲーテ Iキルケゴール Jヘーゲル Kフィヒテ Lノバーリス Mショーペンハウアー Nニーチェ Oディルタイ Pジンメル Qハイデガー RヤスパースSサルトル ……………… 57 

  3 現代の死生観 ……………… 59 

  4 様々な死の不安の解消 ……………… 62 

    @キリスト教・イスラム教 A日本の仏教 B臨死体験 C輪廻と転生 

☆次は、色々な死の不安の解消法です。……………… 69 

D死との最後の出会い E死は、生との別れ F死は眠り G死ぬまで「死なないと思い続ける」方法 H死のことを忘れていく方法 I遺伝子が受け継がれると考える方法など J来世・霊魂・天国・生まれ変わりなどを信じる方法 K死についての様々な思い……………… 87 

  5 自殺における死の受け入れ ……………… 94 

    1、五郎は幼少の頃受けた不安や恐怖 ……………… 94 

    自殺の原因は多種多様ですが、それを取り上げ ……………… 94                    

    2、さて自殺の場合の「死の受け入れ」は ……………… 97 

    @単独自殺の場合 A集団自殺の場合 ……………… 97 

    B死を望んだり、ためらっておられる方々へ ……………… 101

    Cいじめにあっておられる子供さんたちへ ……………… 104

第三章 哲学史上の死・実存・存在の問題

  1 死の問題の流れ ……………… 108  

    @エジプト Aギリシャ B釈迦の頃 C孔子の頃 Dキリストの頃 Eマホメット(ムハンマド)の頃 F神の存在を前提とする哲学者ら G生の哲学者ら Hその他 I無神論的実存主義の哲学者ら J宗教上の死生観の流れ K哲学史上の死生観の流れ L死生観のことなど……………… 116

  2 実存問題の流れ ……………… 117 

    一、実存哲学の終焉から復活へ……………… 117 

    @、実存哲学の終焉が……………… 117

    A、実存という言葉は……………… 118

    B、そもそも哲学史上では……………… 119

    C、「人間は理性的動物である」……………… 119

    二、実存主義(実存哲学)の流れ A・有神論的実存主義 B・無神論的実存主義 ……………… 122

  3 存在の問題について ……………… 127 

    @タレス…アウグスティヌス…ハイデガー ……………… 127 

A「〜がある」は現実存在で、……………… 131 

第四章 ハイデガーの『存在と時間』とその現代的意味

  1 ハイデガーとの出会い ……………… 134 

  2 『存在と時間・Sein und Zeit』の要点 ……………… 135 

    @ 存在の意味とはA 世界とは・気遣いとはB 他人からの支配 ・不安はどこからC 死に向かっての存在・死と良心D 死の『先方に出る覚悟(先駆的決意性)』と時間性・宿命と運命……………… 144 

  3 『存在と時間』後のハイデガー ……………… 147  

  4 ハイデガーとサルトルの実存論の「違い」とその後 ……………… 151

  5 ハイデガーにおける死の問題 ……………… 155 

  6 『瞬生五十年』の瞬間と、ハイデガーの『瞬視的』の意味 ………158            

  7 『存在と時間』の現代的意味 ……………… 159 

第五章 『死生学と死生観』の確立を願って 

 一、なぜ今、死生学と死生観の確立が求められているのでしょうか。………166 

    @、『死生学(Thanatology)』とは……………… 166

    A、『死生観』とは ……………… 167

    B、死とは何か ……………… 168

    C、子供たちに死生観の歴史を  ……………… 170

 二、『瞬生五十年』による死の不安の解消……五郎の「禅的無の体験」をもとに 171

  1 死の不安をどう解消するか……………… 172

  2 人間の生は、誕生と死との間に……………… 175

  3 ここでひとつ、頭の中を空っぽに……………… 176

  4 さて、心が軽くなると負担も……………… 179

  5 一瞬、一瞬に自己の全人生を没入する……………… 182

  あとがき……………… 184 

  索  引 ……………… 189





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