B 死を望んだり、ためらっておられる方々へ p101
世の中には生きたいのに、生きられない人がたくさんいるのです。死の不安や恐怖に怯(おび)えている人がたくさんいるのです。明るい青空のもとで思い切り走り回れない子供さんだってたくさんいるのです。一日でも長く生きていたいのに、死に直面して苦しんでおられる方々の現実を見てください。
この広大な数百億光年の宇宙の中の地球上に、人間として生まれ得たことはまさに奇跡(きせき)としか言いようがないでしょう。そして2度と生まれ変わることがないとしたら・・・・・・。
この地上で息をして、生きていられるだけでも意味があるのではないでしょうか。一日一日を死の心配も無く、生きられることだけでも幸せではないでしょうか。
もし皆さんが「がん」ですと告げられたらどうでしょうか。自殺のことなど忘れて、夢中で生きようとするかも知れません。精神的な苦痛を除いて、健康な体を持っているなら、それだけで十分生きる意味があると思います。何か楽しみを求めたり、生きる理由を求めたりしなくても、この地上に存在するだけでも十分意味があると思います。なぜなら、再びこの地上に人間として生まれることはないでしょうから。
どうか死に直面した方々がおられる病院を訪れ、
死なねばならぬ運命を背負(せお)った方々にお会いしてください
生きたくても生きられぬ病(やまい)を背負った人の前にひざまずき、
命をおろそかにしようとしたことを謝(あやま)ってください
そうすればきっと、命の尊(とうと)さが分かるかも知れません
そうすればきっと、命の重みが分かるかも知れません
どうかもう、死ぬなんてことはやめてください
どうかもう、他の人に呼びかけなどもしないでください
恐らく一回限りの命でしょう
恐らく生まれかわることはないでしょう
この大切な一回限りの命と、
他の人の命をどうか無駄(むだ)にしないでください
できたら、生きられぬ人たちの命を背負って生きぬいて下さい
そうすれば、あなたの生きる意味があるかも知れません
そうすれば、あなたの人生に、光が差し込むかも知れません
もう少しだけ待ってください
心を無(む)にして、深く深呼吸をしてください
そして幼少の頃訪(おとず)れた、
あの青い海、青い空と白い雲を思い浮かべてください
ひょっとしたら生きる力が湧(わ)いてくるかも知れません
時間はまだまだ十分にあるのですから・・・・・・
もうそんなに自分を責めないでください
もう死ぬなんてことは止めてください
あなたと、あなたの家族と友人と、
あなたが背負った、かけがえのない命のために!